2008年03月12日

電子情報通信学会学会誌 平成20年3月号

主な記事

・小特集 次世代コンピュータを支える超高速・超高密度インタコネクション技術
・DRMの技術動向
・電子の街「秋葉原(東京),日本橋(大阪)」への期待

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・小特集『カーボンナノチューブを用いたVLSI配線』二瓶久,栗野祐二
 現在LSIに用いられている配線はCu(銅)である.よく知られているように,微細化に伴ってCuは配線抵抗の増大が顕著になってくる.この記事ではこれを克服する手段の一つとしてカーボンナノチューブ(CNT)をとりあげている.カーボンナノチューブは最近つとにとりあげられている.カーボンナノチューブは,それこそポスト-シリコン半導体としても期待されているという記事を聞いた事がある.記事はなかなか難しくて自分には読みきれないが,カーボンナノチューブをCu配線と置き換えて,Si-半導体とどう共存させるか,という論文だと感じた.ともかくカーボンナノチューブがこれから大きく進歩していく事に期待したい.

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・解説『フィールドの魅力を掘り起こすフィールドマイニング』松村真広
 膨大で平坦なデータから,より価値のある情報やデータを掘り起こす技術としてデータマイニングというものがある.またそれを自然言語に応用したテキストマイニングいう研究もある.

 松村先生は,それを更に応用し身近な風景の中からある価値を見出すという「フィールドマイニング」という手法を提言されている.面白いのは参考文献に「アハ体験」の茂木健一郎先生や,トマソンで有名な赤瀬川原平先生を引用されている事である.このような挑戦的な試みを載せている学会誌にも天晴れというところだろうか.

 フィールドマイニングは,日常見過ごしてしまうような身近な風景に目を留めてもらうためにどのような仕掛けをすればよいか,またどのような仕掛けに人は目が留まるのか,という研究であると思われる.
 
 フィールドマイニングの実験例として面白かったのが,SNSのウェブ上の書き込みのように,実際の壁に「らくがきマップ」として近隣の住民に気軽に感想・写真などを貼り付けてもらってコミュニケーションツールとして使ってもらおう,という取り組みである.個人的な感想だが,日本人は,このこのような個性がある程度ぼやけるような主張に関しては敷居が低い.メッセンジャーで写真をアップする人は少ないが,アバターは以上に盛り上がる,といった具合にである.地域活性のため,またはフィールドマイニングという観点からも,この緩いつながりをもつ「らくがきマップ」は使い方によってはかなりおお化けする可能性があると思う.

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・オピニオン『電子の街「秋葉原(東京),日本橋(大阪)」への期待』南正輝
 記事は秋葉原・日本橋・大須等が電気街として,電子工作やアマチュア無線,PCパーツ,果てはアニメ・ゲームやフィギュアに至るまで,創造力をかきたて,また刺激する環境の場として提供してきた事を示唆するものである.
 
 秋葉原は一昔前の電気街としての一面をがらりと変えて,「秋葉原の代名詞となったメイドカフェ」を代表するようなアニメやゲームを中心とする業界が席巻している.この議論ではともすれば電気街の変容に関しての苦言をつらつらと述べがちであるが,著者はそれもまた「専門分野」として受け入れ,またそのように注目されている時だからこそ,電気街が持つ創造力を発現していくべきでは無いかと述べる.

 著者は「電気街育ちの筆者としては,変貌する電気街を悲観的に見るのではなく,少しでもギャップを埋めるために電気街を積極的に活用する前向きな姿勢をも大切では無いかと思っている.電気街は技術をみて触って学べる場所である」と述べる.私もやはり大きなモノ作りのうねりを生み出す為には相応の環境が必要であると思うとともに,それを研究者の視点から発言される著者の意見はなかなか貴重であると思う.
posted by 柿03 at 04:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 情報
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